ChatGPTなどの生成AIを仕事や授業で使う前に、確認しておきたいことは大きく4つです。①所属先(会社・大学・学校)のルール、②入力してはいけない情報(個人情報・機密情報)、③サービスの利用規約、④出力の正しさです。

この記事では、個人情報保護委員会の注意喚起と、文部科学省が大学や学校に向けて出した資料をもとに、それぞれのポイントを整理します。特定のAIサービスの設定方法ではなく、どのサービスにも共通する考え方をまとめています。

1. 所属先のルールを先に確認する

まず確認したいのは、会社や大学、学校が生成AIの使い方についてルールを決めているかです。

文部科学省は、2023年7月13日に大学・高専に向けて出した事務連絡で、各大学・高専が生成AIの教学面の取扱いについて指針などを定め、状況に応じて見直していくよう求めています。授業ごとに扱いが違うこともあるので、大学の指針と、授業のシラバスや先生の指示の両方を確認しましょう。

会社の場合も、情報セキュリティの規程などで、使ってよいサービスや入力してよい情報が決められていることがあります。わからないときは、使う前に上司や担当部署に確認するのが確実です。

2. 入力してはいけない情報

個人情報保護委員会は、2023年6月2日の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」で、一般の利用者に向けて次のように注意しています。

  • 入力された個人情報が、生成AIの機械学習に利用されることがある
  • その結果、ほかの情報と結びついて、正確または不正確な内容で、AIの出力として出てくるリスクがある

文部科学省の大学向けの資料でも、生成AIへの入力を通じて、機密情報や個人情報が意図せず流出・漏洩する可能性があるとして、こうした情報を安易に入力しないよう求めています。

入力を避けたいもの 例
自分や他人の個人情報 氏名と住所・電話番号、学籍番号、顔写真など
他人について書かれた情報 顧客の相談内容、友人とのやりとりの内容など
所属先の機密情報 社外秘の資料、未発表の企画、試験問題など
パスワードなど ログイン情報、APIキー、カード番号など

どうしても文章の一部を使いたいときは、名前や固有名詞を置き換える・削るなど、個人や組織がわからない形にしてから入力しましょう。

3. 利用規約とプライバシーポリシーを読む

個人情報保護委員会は、利用者に向けて、サービスを提供する事業者の利用規約やプライバシーポリシーを十分に確認し、入力する情報の内容を踏まえて判断するよう呼びかけています。

確認したいのは、主に次の点です。

  • 入力した内容が、AIの学習に使われるか。使われない設定(オプトアウト)があるか
  • 年齢制限:文部科学省の小中高校向けのガイドライン(Ver.2.0、2024年12月26日)でも、年齢制限や保護者の同意の必要性など、サービスの提供者が定める最新の利用規約を確認し、守る必要があるとしています
  • 生成物の扱い:出力した文章や画像の利用について、条件が付いていないか

学習への利用の設定や年齢の条件は、サービスやプラン(個人向け・法人向け・教育機関向けなど)によって違い、変わることもあります。使うサービスの公式ページで、最新の内容を確認してください。画像生成AIの規約の読み方は生成AIの画像はブログに使える?利用規約と注意点の確認方法で紹介しています。

4. 出力は「下書き」として確かめる

個人情報保護委員会は、生成AIの応答には不正確な内容が含まれることがあると注意しています。自然な文章でも、確率的な関係に基づいて作られているためです。文部科学省のガイドラインも、もっともらしい誤り(ハルシネーション)を完全に防ぐことは極めて難しいとしています。

  • 数字、日付、固有名詞、引用は、元の資料(公式発表・論文・法令など)で確認する
  • AIが示した参考文献やURLは、実在するか、内容が合っているかを自分で開いて確かめる
  • 仕事の文書は、送る前・出す前に人が読み直す

授業・レポートで使うときの注意

文部科学省の大学向けの資料では、生成AIが役立つ場面として、ブレインストーミング、論点の洗い出し、情報収集、文章の校正、翻訳、プログラミングの補助などを例に挙げています。

一方で、次のような注意点も示しています。

  • 生成AIの出力をそのまま使うなど、学生自らの手によらずにレポートなどを作ることは、一般に適切ではない
  • 出力に他人の著作物がそのまま含まれている場合、レポートに使うと、意図していなくても剽窃(ひょうせつ)に当たる可能性がある
  • 生成AIを使った場合に、使ったことや、使ったAIの種類・箇所を明記させることなどが、評価の工夫として考えられる

レポートでAIを使ってよいかどうか、使った場合にどう書くかは、授業ごとの指示に従いましょう。AIへの頼み方はAIに頼むときの指示の書き方|伝わる依頼文の基本で紹介しています。

使う前の確認の順番

仕事や授業で生成AIを使う前に
  1. 所属先や授業に、生成AIのルールはある?

    • ある → まずそのルールに従う。使えるサービスや範囲を確認。
    • わからない → 上司・担当部署・先生に確認してから使う。
  2. 入力しようとしている内容に、個人情報や機密情報は入っている?

    • 入っている → 入力しない。必要なら名前などを置き換える・削る。
    • 入っていない → 次へ。
  3. 出力をそのまま使おうとしている?

    • はい → 事実を元の資料で確認し、自分の言葉で直す。授業なら使ったことを明記するか指示を確認。
    • いいえ(アイデア出し・校正など) → 最後に人が読み直して仕上げる。

どのAIサービスを選ぶかの比較は大学生におすすめの生成AIはどれ?ChatGPT・Gemini・Claudeの有料プランを比較で紹介しています。

参照情報

以下はいずれも2026年10月24日確認。資料の日付は各資料の公表日です。サービスの規約や設定は変わることがあるので、使うサービスの公式ページも確認してください。